Knot 写真展に寄せて 日本海新聞掲載文

Masatoshi  Demura 

自己の内面表現を模索 

 
 私は若い方の写真教室を松江・倉吉・鳥取・広島と持っている。教え方は難しく、独断的なためあまり人気はなく、一日で来なくなる人も多い。従って残った人は少し変わり者ばかり。
 グループの名前をつけるにもKnot(ノット)。どんな意味なのか聞いてみると、なんでも「結び目」とか「つながり」といった意味があるらしい。男性3人、女性6人。同じグループながら、古典的な写真から前衛的なものまであって、池本流写真の家元であう私の助言すら聞かず、てんでんバラバラなところも、口には出さないが私個人としてはなかなか気にいっている。
 写真と言えば、砂丘とか大山とか同じような被写体にカメラを向けて安心してシャッターを切っている写真愛好家の人たちが多い中、Knotのメンバーは自己の内面を少しでも表現しようと、それぞれが模索している。
 さらに展示するにも、写真屋さんに任せず工夫を凝らしていて、きっと楽しい写真展になるのではないか。写真の好きな若い人にはぜひ見てほしい。
 写真も21世紀になり、風景写真一つにしても大きく変化した。シャッターを押せば誰でも写せる時代だから、目の前にある被写体が重要なのではなく、むしろカメラの後ろ側にいる作者が何を考え、どう被写体と接しているかが大切である。写真が芸術というなら、大切なのはイマジネーションとオリジナリティーである。苦しみながらも真剣に写真で何かを表現しようとしている。
 若者といっていいのか微妙な年代の9人。このメンバーの中から次世代のの鳥取をけん引する写真家が現れてくれることを強く望んでいる。
                     写真家 池本喜巳